江戸の経済を支えた武蔵野
江戸市場の拡大とともに発達してきた近距離経済を江戸地廻り経済と言い、葉物(野菜)の産地は次のようなところが有名であった。
菜:小松川(江東区)、小菅(葛飾区)、堀切(葛飾区)、亀戸(江東区) ネギ:千住(荒川区)、金町(葛飾区)、砂村新田(江東区)、深谷(埼玉)、岩槻 大根:練馬、中野、三浦(神奈川) さつま芋:三芳(埼玉)、富士見(埼玉)、所沢 じゃがいも:大宮染谷(埼玉) 人参:中野、練馬、戸越(品川区)、久ヶ原(大田区)、大井(品川区)、馬込(大田区) ゴボウ:練馬、春日部、大宮、保土ヶ谷
これらの産地は、江戸城下町を囲む武蔵野と隅田川河口の低地帯である。埼玉県下の産地は、荒川流域にあり、川舟を使って、日本橋の市場まで運ばれた。
武蔵野と江戸の経済を整理すると、武蔵野からは野菜、薪炭、麦、そして起伏のある地形を生かした水車による穀物粉(そば、うどん粉)が問屋を通して江戸市場に供給された。また江戸からは、瀬戸物、下肥、糠が武蔵野に供給された。