房総半島南部は、古代は安房国と呼ばれました。豊かな漁場に恵まれたことから、御食国に任ぜられ、朝廷に海産物を貢進しました。実際平城京出土木簡でもアワビの貢進が確認されています。
17世紀後半には房総半島に東廻海運の千石船が寄港したが、大河川がないために積み替えを行うような大港は発達しなかったようです。房総半島の海運の中心は百石程度の五十葉船であったと考えられます。
さて、植生の話に転じます。比較的自然環境が残っているとされる房総半島でも、照葉樹林主体の植生(海岸性照葉樹林帯)は海岸線から数キロしか残っていません。房総半島の大部分は、落葉樹を主体としシラカシなどが混在する「内陸性照葉樹林帯」です。
鴨川市周辺は、房総半島では照葉樹林帯の残りよく、海から5~6キロの内陸まで照葉樹林帯が残っています。和田町の大クスノキは、目通り12m、高さ32mで、推定樹齢は750年だそうです。 海岸から約6kmの位置にあります。
私たちは、環境省の「生物多様性保全のための国土区分」を遵守して、照葉樹林帯(第6区)には「浜っ子ターフ」、落葉樹林帯(第3区)には「野の花マット」を提案しています。
しかし、照葉樹林帯にくくられる房総半島も、海岸から数キロ入れば落葉樹林帯であり、第6句と3区の区分は暫定的、ないし、かなり重なり合うのが現状です。 したがって、ボーダー地域にあっては、浜っ子ターフと野の花マットの選択は、設計コンセプトがポイントとなります。