植生区分を考えるときに、伊豆諸島の植生はわかりやすく、モデル的な地域であると私は考えます。
植生区分には、大中小の3つの区分があります。大区分としては、「生物多様性保全のための国土区分」があります。伊豆諸島は、その第6区(太平洋側照葉樹林帯)に属します。
第6区の植生の指標は、タブノキとスダジイです。 高木層(15〜20m) タブノキ スダジイ ミズキ 亜高木層(10m)ヤブニッケイ アカメガシワ カラスザンショウ シロダモ 中木層(5m) ヤブツバキ マサキ モチノキ ヒサカキ 低木(3m) トベラ マルバシャリンバイ
植生の中区分としては、関東南部沿岸地帯から伊豆諸島、すなわち環東京湾です。この地域の固有種としては、オオシマザクラとガクアジサイがあります。小区分も同じですが、植生の中区分は、草本を加えるとさらに地域色が鮮明となります。
植生の小区分は、伊豆諸島です。サクノキ、オオバエゴノキ、ハチジョウイヌツゲ、ハチジョウキブシ、ハチジョウイボタ、ハチジョウモクレイシ、シマガマズミ、ニオイウツギなどがこの地域の固有種です。
植生区分のいずれを選択するかは目的によって異なります。旧石器時代の黒曜石以来の交易、あるいは江戸時代以来の流通経済という歴史と自然の関係という点で見ると、環東京湾をエリアとした植生の中区分が重要であると私は考えます。