2010年春、アクアマリンふくしま「エッグ」(子ども体験館)中庭のランドスケープ。
設計はプランタゴの田瀬理夫さん、材工は仲田種苗園。
田瀬さんは三角形のフトンかごで阿武隈山地を表現しました。山の部分は、地元石川町の道路工事で派生したペグマタイト(巨晶花崗岩)を購入しました。ほとんどが風化砂になっていましたが、大きさなバラバラの石と風化砂の自然な混じりあいが、ランドスケープとしてはとても良かったと思います。
鮫川はいわき沖に注ぎます。その支流域にある私の父が所有している畑から、竹貫変成岩の黒雲母片麻岩などを採集して三角形フトンかごの斜面中ほどから下部に置きました。鮫川上流から中流を表しました。
また仲間の石屋さんから、御斉所変成岩の緑色片岩(「鮫川石」)を調達して、フトンかご下部に加えて、鮫川下流域を表現しました。
野の花マットを一部に張り、最後に苔を貼りました。貴重なペグマタイトを全部見せるのではなく、苔の隙間から、長石や雲母が見えるという奥ゆかしさです。
2016年、日本地質学会は、ペグマタイト鉱物(石川町)と片麻岩(阿武隈高地)を「福島県の石」に認定しました。エッグ中庭は、地質についてほとんど知らない時に造園したもので、鉱物名も現在からの後付けですが、幸い阿武隈山地の地質のポイントは外してなかったようです。
なお2011年の大震災により、エッグ中庭は50センチ沈下したために、残念ながら田瀬さんがこだわった子供目線の高さは失われています。
動画「なにがあるのかな」