■矢造変成岩
プレート衝突によって形成された、斜め45度の地層角度が矢造変成岩の特徴。阿武隈川の支流今出川、そしてその源流の矢造地区はその変成岩の中心地だが、スレート状に割れる変成岩の性質を活かして、45度を反転させながら積み上げていく石積み技術を屋敷の土台や河川護岸に活用してきた。地殻変動と人間の技術との関係がビジュアルにわかって、感動。
次のふくしま風景塾のテーマは、「地球を感じ、形にする」だな。
福島県石川町大字中田字矢造・村松地内
■竹貫変成岩
1軒の民家の見事な石積み。
石材は、目の前を流れる小川から採取したものであろう。
竹貫変成岩は、矢造変成岩のようにスレート状には剥離しないために、石積みの方向性は分散する。
古殿町鎌田周辺(石川町との境)
■極上のルーラル・ランドスケープ
福島県石川町大字中田字矢造・村松地区は、今出川源流域、地質的には「矢造変成岩」の中心地だ。
変成岩の露頭を庭に取り込む家がある。
またスレート状に剥離する石材を活かして、45度を反転しながら積み上げるという独自の石積み技術を、屋敷の土台や今出川源流の河川護岸に使っている。
そして板蔵があり、丸太橋がらい、春には農作業の開始を告げる種まき桜(エドヒガン)が咲くなど、なんとも心地よい雰囲気の「田舎の風景」(ルーラル・ランドスケープ)だ。
ところが、狭い町道が県道に格上げされて、地質を観察できる露頭はコンクリートで被覆されて、また護岸もコンクリートに置き換えられるかもしれない。真新しい測量杭が河川両側に打たれていた。それが住民の要望であり、水害に対する強度の点でも必要ではあると思うが、なんとか土木と地域性を活かしたランドスケープが協働できないものか。
石川町大字中田字矢造・村松地区。
狭い道の路傍に、板碑があった。
13世紀~14世紀の供養塔だ。
石川町中田(なかだ)から平田村永田(ながた)地区は、平安時代は陸奥国白河郡 長田(ながた)郷に属していた。
この地域の開発の契機は、砂鉄を利用した製鉄であったと私は推定する。
■ランドスケープと土木の協働
まずは、河川護岸が風景に馴染んでいる。
既存の石をむやみに削ずらない。
石積みは、おそらくこの地域の伝統工法。
風景を壊さないように、裏ではしっかりとコンクリートで強度を確保している。
鹿児島県 知覧重要伝統建造物保存地区の周辺