アゼターフ事始
アゼターフは、田瀬理夫さんが命名したものです。1998年福島県海洋学習館(いわき市、アクアマリンふくしま)の室内造園設計において、「アゼターフ」が特記されました(設計、株式会社プランタゴ)。当初のアゼターフは、いわき市内の里山から採取しました。室内という特殊環境にも関わらず、施工後9年(2008年1月現在)経過しましたが、年々よくなってすっかり里山状態となっています。
生産開始
2001年秋、田瀬さんにお勧めいただき、当社でアゼターフの生産を開始しました。植生豊かな休耕田を草刈管理した、有機無農薬栽培です。
2002年春、スタジオジブリ・アトリエ(東京三鷹市)の屋上緑化にアゼターフが採用されました(設計プランタゴ、施工庭タカニ&イケガミ)。
改善・改良
当社では、創業一族の仲田正子が40年来、野草の栽培を行ってきました。非公開の野草園には、ヒメシャガやサクラソウなど、採取の履歴は明確だが、すでに自生地では絶滅しているとして、野草の母樹(草)の収集を行い、採取履歴が明確なシードバンクを整備しました。次に当社の樹木や野草栽培で培ってきた播種技術を応用して、種蒔き、・寄せ植えによるアゼターフの生産方法を確立しました。種蒔き寄せ植えのアゼターフは、2004年アクアマリンふくしま・キッズビオトープに導入されました。(設計プランタゴ)
アゼターフは、田んぼのあぜ道にあったような豊かな植生マットで、イネ科植物を含みます。その後継バージョンである「野の花マット」は、花に特徴がある野草を凝縮したものですが、生産技術は種蒔き・寄せ植えを基本としています。現在は当社では種蒔き・寄せ植え生産を中心としていますが、休耕田を利用したアゼターフは、水系ごとの植生復元が望まれる場合などには有効です。
アゼターフ生産の理念
アゼターフの生産は、田瀬さんの理念に共感して開始しました。
「都市環境は年々劣化している。アゼターフを使った草屋が種の供給源となって、周辺に広がれば都市環境が改善される。」
「荒れている休耕田が、アゼターフの生産の場として再活性されると、里山の景観が保全される。さらにアゼターフ生産が発展して、新しい地場産業となれば地域が蘇る。」(2001年秋、スタジオジブリ・アトリエの材検の際の田瀬さん談)
当社では創業者(仲田茂)の「在来植物の優良なものを商品化する」という「在来種(主)義」を継承しています。アゼターフと野の花マットの生産は、田瀬さんの理念と当社の在来種(主)義をもとに、日々改善と改良に努力しています。