sissinghurst castle garden(3)
中庭のボーダー(帯状花壇)は、レンガ壁を背景とし、低木を後ろに、宿根草を手前に植栽したミックスボーダーといわれるものです(ちなみに宿根草だけのものはハーベイシャス・ボーダー)。青と赤の補色効果が印象派絵画のようで、とても美しく、エレガンスです。
イギリスのガーデニングには、カラー・スキーム(色彩計画)という概念があるそうです。「吉谷桂子さんのガーデンデザイン講座」によると、カラー・スキームの考えは19世紀後半には提案され、「目的やテーマをもって色彩計画」を立てることは、現代においてますます重要になっているそうです。
『イギリス庭園紀行」というガイドブックによれば、この庭園の植物選びを担当したヴィタのカラースキームの特徴は、詩人としての素養から醸し出されるロマンチックです。確かに印象派絵画を見るようで、ロマンチックな感動を味わえます。
カラー・スキームと言えば、前回報告したベス・チャトー夫人も卓越しています。非常に多種類の植物を駆使しているので、一歩間違えるとバラバラに猥雑になりますが、彼女の庭は美しく、優しい印象にまとめられています。その背景には、植物ひとつひとつの色彩を計算した、ち密なカラースキームがあるのでしょう。