4月25日〜28日、シンガポールでワークショップを行った。普段お世話になっている設計事務所の方と3人で、国内の壁面緑化は行き詰っている気がする、それじゃ先進国を見てみよう、ということで研修が実現した。
その結果、壁面緑化にとどまらず、シンガポールの都市計画における緑の役割という理念を実体験ができた。
滞在中に、現地で働く3人のランドスケープアーキテクツにお世話になった。その一人が、シンガポールの国づくりは、ビジネスと似ている。ビジョンを着実に具体化していく。この指摘は当を得ている。
シンガポールの産業は、伝統的な貿易に加えて、法人税を安くして金融資本を誘致、さらに観光に力を得ている。
東京23区の面積に人口350万人、さらに500万人まで増加させることを目標にしている。人口増加と共に緑地面積を増やしてきた
シンガポールの都市計画のコンセプトは、トロピカル・ガーデンシティ。建築を高層化することによって、広い緑地を確保する。しかも、緑地は多様な植物を植え、ビル自体を緑化することによって、観光資源とする。施策にバラバラ感が否めない日本と比較すると、戦略が明確で、しかも観光で実績をあげている。
緑を中核とした都市づくり。これが都市に価値を付加して、アジアの中における都市間競争に優位に立つ。
近年は、緑を都市が持続するための「生命源」と捉えているようだ。まさに緑は生態系の生産者。人口を増やすために、緑を増やして、環境を整備する。都市、そしてそこに住む人々の命を持続させるために、緑地をネットワーク、さらにビルを森化して、生態系の飛び石をつくり、豊かな自然の中で暮らす生活を実現していく。たしかに個々のテーマは日本でも試みられているが、シンガポールは施策にビジョンと継続性があり、着実に実現して、現在はアジアでトップクラスの魅力ある都市になっている。
marina bay sandsの屋上庭園、プール。地上56階、200mの「天空の庭」
多数の貨物船が行き交うマラッカ海峡、手前は植物園garden by the bay
在シンガポールの設計家の方々との懇親会。大いに盛り上がりました。