いわき市北部の港町久ノ浜・大久地区は、津波で大きな被害を受け、多くの人が避難生活を送っている。
この地区と内陸の中通り地方の石川町中谷・谷沢地区の住民は、数年前から交流している。久ノ浜・大久地区は地域興しの一環として砂浜にハマエンドウやハマヒルガオを植栽し、近年は見事な群落となっていた。また中谷・谷沢地区は樹齢400年と推定されるエドヒガンザクラの古木「古内の桜」周辺を整備して、地域のシンボルに育ててきた。ともに地域資源を活用して、地域おこしを進める意欲と行動力のある地域どうしの民間交流である。
昨春のアクアマリンふくしまの企画展「森と海の文化展」では、久ノ浜・大久地区と中谷・谷沢地区の交流の様子が紹介された。「この展示によって、両地区の絆は深まった」と石川町の関係者は語る。互いに海の幸、あるいは山の幸をもちこんでの交流は民間ならではの心のこもったものになった。今年はさらに盛り上げようという矢先に地震と津波があった。
中谷・谷沢地区の人々は地震直後から何度も久ノ浜・大久地区の人々の避難所を訪れ、炊き出しを行ったり、支援物資を届けた(福島民報新聞など)。
4月24日には、久ノ浜・大久地区の代表者や役員が、中谷・谷沢地区を訪れ、満開の古内の桜のもとで、支援への感謝を伝え、復興を誓ったという。震災で両地区の絆はさらに深まった。復興には、カネとモノが必要だが、絆ほど大事なものはない。
いわき市久ノ浜・大久地区と石川町中谷・谷沢地区の交流を紹介したアクアマリンふくしまの展示