私が小学校6年の修学旅行の時、国立科学博物館の展示で石川町産の鉱物を発見した時には、郷土に誇りを持った。
またベルリンの壁が崩壊して4年後の1993年、旧東ベルリンの博物館島(ムゼウムインゼル)で鉱物産地名を示す「Ishikawa Japan」のキャプションを見た時には大興奮した。未確認ながら、イギリスの自然史博物館やアメリカのスミソニアン博物館にも、石川の鉱物が収蔵されているという。昨年はUSAの名門イエール大学が石川町の鉱物を見学した。つまりわが石川町は、世界的に知られた鉱物の産地である。
石川町の鉱物は、155種確認されている。多様な地質を持つ日本列島は、世界でも鉱物の種類が多く、2000種類発見されているが、石川町ではその約13パーセントが確認されている。
鉱物学が専門の長瀬敏郎東北大学准教授によれば、石川町は日本最大級の価値をもつ鉱物産地である。
1 鉱物の種類が豊富(155種)
2 鉱物の結晶が巨大(石英巨晶帯、長石巨晶帯、電気石・柘榴石・白雲母等)
3 希土類元素やレアメタルを主成分とする鉱物の産出
ペグマタイト(Pegmatite)は、花崗岩の仲間である。マグマが冷えてできた花崗岩に含まれる鉱物(水晶、長石、雲母など)はごま塩みたいな大きさであるが、ペグマタイトはその鉱物が大きく、巨晶花崗岩とも呼ばれる。石川町の155種の鉱物のうち、約半分の75種がペグマタイトから確認されている。
ペグマタイトの鉱物は、マグマが隆起して花崗岩となった後で、その隙間に水が入り、そこに揮発性の鉱物などが染み出して形成された。地上に噴出するときに、急速に冷却されると、地表付近に凝結してペグマタイトとなるが、それは天文学的な確率となる。長瀬准教授は、石川町を「奇跡の地」と称える。
石川町は、岐阜県苗木や滋賀県田上山とともに、日本三大ペグマタイトである。ところがペグマタイト研究の第1人者である長瀬准教授によれば、石川町の巨晶鉱物の大きさが他よりもダントツに大きい。すなわち石川町のペグマタイトは日本一の質である。
ペグマタイトは、主に石英と長石で形成される。野木沢駅に展示されているペグマタイトは、その構造を知る良きモデルである。
文象花崗岩、石英と長石が交互に混じる。楔型文字に似ることから文象と呼ばれる。ペグマタイトの周辺に形成される。
もう一つのサンプルを見て、ペグマタイトの構造を確認してみよう。石川町役場の玄関入り口に展示されている。
長石(写真左)、石英(右)の混合体で、文象花崗岩、電気石、雲母を含む。
石英はガラス、長石は磁器や陶器の釉の原料になります。特に野木沢地区は、大正時代から昭和40年代までは、長石の生産が盛んで、野木沢駅には専用の引き込み線がありました。
ペグマタイトには、宝石的価値が高い鉱物も含まれる。