天神島の植生を観察すると、磯の岩場から照葉樹林に移行する間に、マント植生がみられます。
トベラなどの低木とツルマサキなどのツル性植物が、最後の写真に見られるように、スクラムを組むようにして、潮風をブロックしています。里山でも、フジやクズなどのツル性植物がマントの働きをして風から森を守っているが、天神島の例は、海岸性マント植生とでも呼ぶべきものです。
海外性マント植生の上部、潮風が少し弱まった位置に、照葉樹林帯が形成されています。樹林帯は、タブノキ・エノキなどの高木層、シロダモなどの亜高木層、中低木層というように植生の階層を形成しています。
東京湾の植栽事例をみると、強い潮風のところに、照葉樹の高木を単独で植栽しているが、ほとんどは樹勢が弱い欠点があります。海辺の植生をみると、高木は潮風から離し、強い潮風地帯には海岸性マント植生をモデルとした植栽デザインを考慮すべきでしょう。