(写真左:スカシユリ 写真右:カワラナデシコとハイネズ)
「日立」 江戸地廻り経済の海産物を扱う五十葉(いさば)船は、百石程度の小型帆船です。航行距離に限界がありますが、小船で行きかう地域はそれだけ経済的な結びつきが強い証でもあります。江戸の五十葉船の北限は鹿島灘に面する日立です。
江戸時代の日立は、御三家水戸藩の領内ですが、当時の商品は塩と鰹節です。平安時代の延喜式には、常陸は「鰒(あわび)」が特産とされています。もともとは常陸国ですが、水戸光圀が「日の立つる」ところという意味で、日立と名付けました。
日立の中心港である那珂湊は、東廻海運の寄港地でもあり、海と久慈川の積み替え港でした。また港には、幕末の水戸藩は藩主徳川斉昭や藤田東湖を中心とする尊王攘夷派が藩政を握り、那珂湊には外国船を監視する異国番所が置かれましたました。
那珂湊に隣接して、国営ひたちなか海浜公園があります。鹿島灘は、沿岸コンビナートの建設によって、多くの砂丘が消滅した中で、公園内の砂丘は貴重です。
海浜植物には、潮風により絶えず砂が移動する砂丘を好む植物と、砂が移動しない砂丘後背地を好む植物、さらに両方に生育できる植物があります。
砂丘後背地は、海浜植物(コウボウシバやスカシユリなど)と里山植物(カワラナデシコやチガヤなど)が共生します。
当社で開発を進めている「浜っ子ターフ」は、砂丘後背地や海崖上部の植生をモデルとしています。