ヨーロッパアルプスの秀峰マッターホルンは、標高4478m。
尖ったところは古生代の地殻起源の片麻岩、その下は中世代の海洋堆積層起源の結晶片岩、つまり新旧が逆転しています。
もともとはヨーロッパ大陸とアフリカ大陸に挟まれて存在した海の海洋地殻と海底堆積物とという地質で変成作用により地殻は片麻岩、海底堆積層は結晶片岩などになっていたが、アフリカプレートが北進、ヨーロッパプレートよりも軽いので、沈み込まずに激突しました。
車の正面衝突のようにグシャグシャになり(褶曲)、断裂もして(断層)、新旧の地層が入り乱れました。
これをナップと言います。テーブルに折り曲げて置かれるナプキンの意味です。
さらに氷河によって削られて、マッターホルンの尖った形になるが、そのもの氷食尖峰と言います。
(仲田種苗園ブログ「マッターホルンの地質」)
■ツェルマット・登山鉄道ルート
スイスのリゾート地ツェルマットからの登山鉄道の終点がGornergrat標高3089mです。
そこからの眺めは、マッターホルンなどの山は尖り、谷はU字状のカールになっているが、いずれも氷河による浸食です。
氷河が溶けた山肌には、細かい地層が曲がりくねった様子が観察されます。
これは褶曲と言い、ヨーロッパプレートにアフリカプレートが衝突した際の圧力で地層が曲がり、あるいは断裂(断層)しながら、盛り上がってアルプス山脈をできたことを示しています。
ツェルマット山岳鉄道Rotenboden駅標高2815m。
マッターホルンを望むリッフェル湖の最寄り駅です。
地質は、中世代の海洋堆積層起源の緑色片岩。氷河がなくなり、高山植物が咲き、ヒマラヤマーモットが生息します。
スイスアルプスは、おおよそ標高3000mが万年雪が残る雪線、標高2000mが森林限界線、その間が高山草原群落です。
地質は海洋堆積層起源の緑色片岩などの結晶片岩です。
礫の間から、多様な高山植物が咲いています。
標高2000mあたりが、森林限界です。
海洋堆積層起源の緑色片岩の間から、針葉樹のドイツトーヒやヨーロッパハイマツ(高木になる)、シャクナゲに似たアンペンローゼが咲いていました。
ロックガーデンの原風景ではないでしょうか。
私が訪問した2016年7月上旬は、ちょうどツェルマットマラソンが開催されました。
フルマラソンは標高1600mのツェルマットから標高2500mのRiffelbergまでの、かなり過酷なレースですが、たくさんの参加者がいました。
■ ッェルマット・マッターホルングレッシャーパラダイスコース
マッターホルングレッシャーパラダイスは標高3880mの展望台です。
スイスとイタリアの国境にある4000m級の山並みを見ることができます。
アルプスはヨーロッパプレートにアフリカプレートが激突して、グシャグシャに折れ曲がり(褶曲)、また断裂しながら隆起しました。
最後の空中写真を見ると、尾根が規則的に東西方向に伸びており、褶曲が描いた地形かも知れません。
標高2000mが森林限界で、この辺りには住居が点在します。
最初の写真は、ツェルマット郊外のツムット。
結晶片岩が浸食されたツムット谷で伝統な木造建築20軒で構成されて、礼拝堂もあるようです。
建築は柱を使わない井籠セイロウ造りで、屋根は粘板岩スレート葺きです。
私は2016年7月に標高2581mのシュヴァルツ湖駅から下山途中に、この集落を崖上から見たが、その後道に迷い憔悴した時にアイベックスが現れて勇気づけられました。
■saasfee
Saasfeeは、ツェルマットの東側の谷と言っても、間には標高4000m級のミシャベル山群が聳えます。
村の中心部は標高1800m、そこからゴンドラとケーブルカーを乗り継いで、標高3500mのミッテルアラリン展望台まで行くことができます。
アルプスの地質は、上部が古生代海底地殻起源の片麻岩、下部が中世代海洋堆積層起源の結晶片岩と新旧逆転しています。
展望台周辺の岩石は何やら輝いていて、片麻岩の一種かも知れません。
Saasfee博物館には、周辺から産出した鉱石が展示されています。
スマラグダイト(緑閃石)?、水晶、雲母、氷長石?など。
私が住む町は日本三大ペグマタイト産地の一つで水晶は町のシンボルマーク、水晶に詳しい先生の講演会で、スイスにもありましたと自慢したら、優しい笑顔で、スイスは世界的な水晶Quartz生産地で、時計Quartz産業も発達したと教えてもらいました。
日本の水晶は花崗岩帯で生成されるのに対して、スイスでは変成岩帯(結晶片岩など)で生成されるそうです。
■ 花の散策路
Saasfeeから少し離れたSaasgrundeは小さな集落。
そこからゴンドラに乗ってクロイツボーデン駅標高2420mは、アルプス花の散歩道アルペンブリューメンプロムナードの出発点です。
アルプスは標高2000〜3000mが高山性草原で、その真ん中を横断します。
地質は緑色片岩の礫場、つまり薄い青緑色のキャンバスに250種もの高山植物植物の花が咲きます。
緑色片岩礫に咲く高山植物は、水捌けの良い環境を好みます。
私が好きな配色は、1枚目の写真。
緑色片岩の薄い青緑色とイネ科植物の緑色をベースにして、赤いナデシコ科、黄色いキク科、青いキキュウ科の花が咲きます。
印象派の絵画のような美しさです。
一人旅では、たまに現れるマーモットに癒されます。
標高2000mが森林限界。
それ以下は、ドイツトーヒやヒマラヤハイマツが森を作ります。
浸食渓流の転石は、緑色片岩を中心とした結晶片岩です。
草花も、風が弱く、渓流の空中湿度が供給されて、ナデシコ科やキク科など茎が高いものが多くなります。